スターリング・ワールド

NatureTech Harmonyのブログへようこそ 2024年の東京でニートだったナカモトサトシは、2085年にタイムリープし地球防衛軍の総司令官となりました。広大な宇宙を舞台に、仲間たちと繰り広げるアドベンチャーストーリー。

第十三話⑤ ステラー・フェデレーションと欲望の摩天楼

「ラストの砂漠」は、宇宙の辺境に位置する不毛の星、デゼリオンに存在します。この星系はあまり知られておらず、通常の宇宙航行路からはかけ離れた位置にあります。デゼリオンは地球から約1,200光年離れたゼフィル星系にあり、乾燥した気候と荒涼とした風景が特徴です。ラストの砂漠は、その名の通り、終わりなき欲望と渇望の象徴とされ、ここに足を踏み入れた者は強烈な欲望に取り憑かれると言われています。

 

ラストは、その危険な力と影響力を制御できる者がいないため、過去の宇宙を保護するための措置として砂漠に封印されました。この封印は、古代の賢者や力を持つ存在たちによって行われたとされています。これらの賢者は、宇宙のバランスと秩序を維持するために、極めて強大な力を持つラストのような存在を隔離し、その力が自由に行使されることがないようにする必要があると判断しました。

 

封印された場所として砂漠が選ばれたのは、その過酷な環境が外部からの侵入者を自然と防ぐことができ、また、砂漠の広大な空間がラストの力の影響を限定的な範囲に留めるのに適していたからです。加えて、砂漠は人里離れた場所であり、普通の生物や人間が容易に足を踏み入れることのない場所であるため、ラストの存在が知られることなく、長きにわたって封印を維持することができました。

 

封印を実行した賢者や力を持つ存在たちは、古代文明の中でも特に高い知識と力を有していたとされ、彼らは宇宙の深い理解と共に、後世に大きな影響を与える文化や技術を残したと伝えられています。ラストを封印することによって、彼らは宇宙の平和と秩序を保つための重要な役割を果たしたのです。

 

ヴェクサー・マルキド博士は、ステラー・フェデレーションのリソースを駆使し、デゼリオンへの遠征を組織しました。彼は、ラストの砂漠に隠された悪魔「ラスト」を支配下に置くことを企てました。ラストは、深い欲望の力を操り、その魅力で他者を惑わせることができる悪魔とされています。

 

遠征隊は、高度な装備と準備を整えた後、デゼリオンへと向かいました。彼らの進行を阻むのは、砂漠の過酷な環境だけではなく、ラストの砂漠を守る無数の幻影と誘惑でした。砂漠に足を踏み入れると、遠征隊のメンバーは自らの深い欲望と対峙することを強いられました。

 

メンバーの一人が幻覚を見て、自分が豪華な宮殿の主であると錯覚し、王としての生活に溺れそうになりました。しかし、これはラストの力による幻影であり、実際には砂漠の真ん中に立ち尽くしているだけでした。別のメンバーは、自分の最も切望していた宝物が砂漠に埋もれているという幻影を見せられました。彼は掘り起こそうとして砂に埋まりかけますが、最終的にはヴェクサーによって助け出されました。遠征隊全員が、それぞれ自らの最も深い欲望に直面し、その欲望に飲み込まれそうになりました。一人は無尽蔵の力を求め、別の者は永遠の美を望み、また別の者は失われた愛を取り戻そうとしました。

 

ヴェクサーは、彼らを守るために特別に設計された「欲望の盾」というアーティファクトを持参しました。このアーティファクトは、持ち主の心を安定させ、ラストの誘惑から保護する能力を持っています。遠征隊は、欲望の盾の力を頼りにラストの砂漠を進み、ついにラストを封じる聖域に到達しました。

 

ヴェクサーが欲望の盾を手に入れたのは、シリウス星系に位置する秘密の古代遺跡でした。この遺跡は、古代文明の最盛期に建造されたもので、宇宙全体に散らばる数々の遺跡の中でも特に強力なアーティファクトが隠されていることで知られていました。ヴェクサーはステラー・フェデレーションの影の原理研究部門の長として、宇宙の秘密を解き明かすために多くの遺跡を調査してきました。その過程で、特に影の原理に関連するアイテムを探求していた彼は、シリウス星系の遺跡で欲望の盾と出会いました。

 

欲望の盾は、見る者の内なる欲望を映し出し、それに対する防御または制御の力を持つとされるアーティファクトです。ヴェクサーはこのアーティファクトの存在を示唆する古代の記録を発見し、長期にわたる調査と探索を経て、ついに遺跡の深部に隠された秘室で盾を発見しました。この盾は、欲望によって引き起こされる混乱や破壊から持ち主を守り、内なる自制心を強化する力があると言われています。

 

ヴェクサーは、欲望の盾をラストとの対決に持ち込むことで、彼女の強力な魅力と誘惑に対する防御手段を確保しました。また、盾を使うことで、彼はラストを支配下に置くための心理的な優位を得ることができました。

 

ヴェクサー: 「ついに見つけた、ラストよ。この長い旅の果てに。」

 

ラスト(周囲の砂漠から姿を現し、優雅に微笑む): 「ようやく来てくれたわね、異世界からの訪問者。私をここから解放してくれるの?」

 

ヴェクサー(手にした欲望の盾をしっかりと構えながら):「解放?いや、むしろ新たな契約の提案だ。君の力はステラー・フェデレーションにとって非常に価値がある。私たちの目的に協力すれば、君にはもっと大きな力を与えよう。」

 

ラスト(興味深そうに首を傾げる): 「ふむ、魅力的な申し出ね。だけど、なぜ私が協力すべきなのかしら?私は自由を望んでいるの。」

 

ヴェクサー:「確かに、自由は価値あるものだ。だが、今の君はこの砂漠に封印され、何もできずにいる。私の提案は、その状況を変えるチャンスだ。私たちの目的に協力すれば、新たな地位と力を手に入れることができる。君の魅力と力を、もっと大きな舞台で発揮してみないか?」

 

ラスト:「その新たな力とは何?具体的に教えて。」

 

ヴェクサー(欲望の盾を高く掲げ、ラストに向かって力強く言う):「この欲望の盾を通じて、君の力の範囲を拡大し、影響力を増すことができる。しかし、その力はステラー・フェデレーションの目的に役立てられる。これはお互いにとって有益な取引だ。」

 

ラスト(少し考えた後、決意を固める):「分かったわ、ヴェクサー。あなたの提案に興味がある。もし本当に約束通りの力を与えてくれるのなら、私は協力しよう。」

 

ヴェクサー(内心で勝利を喜びつつも、冷静に):「素晴らしい。では、契約成立だ。ラスト、これからはステラー・フェデレーションの一員として、共に新たな宇宙の秩序を築き上げよう。」

 

この遠征でのラストとの合意は、ステラー・フェデレーションにとって大きな前進を意味し、ヴェクサー・マルキド博士の影の原理に対する理解と支配をさらに深めることになります。彼らはラストの力を用いて、他者を誘惑し、自らの意のままに操る新たな戦略を展開します。

 

しかし、ステラー・フェデレーション内部の一部のメンバーは、このような力の使用が、最終的には自分たち自身にも悪影響を及ぼす可能性があると懸念し始めます。

 

デゼリオンから戻った後、ヴェクサーはラストの力をデモンストレーションとして披露し、ステラー・フェデレーションの他のリーダーたちを驚かせます。これにより、彼のリーダーシップとステラー・フェデレーションの野望に対する信頼がさらに固まります。

 

リストのデモンストレーションでは、彼女がその可愛らしい外見とは裏腹に、強大な力を持つことを示しました。一見無害に見える彼女が、一瞬で周囲の環境を変化させる力を持っていることが明らかになりました。例えば、彼女が微笑むだけで、周囲の気温が急激に上昇し、花が瞬時に満開になったり、水たまりが一瞬で蒸発するなど、自然現象を自在に操る能力を披露しました。このデモンストレーションにより、リストが持つ「色欲」を象徴する力が、単に人を誘惑するだけでなく、物理的な現象にも影響を及ぼすことができるという点で、彼女の力の広がりと深さを示しています。

 

一方で、エレノアとジョンを含むトリックスター・インフィニティのクルーは、ステラー・フェデレーションの活動に警戒を強め、宇宙の平和と調和を守るための彼ら自身の使命を再確認します。ラストとの合意を知った彼らは、ステラー・フェデレーションの真の目的と、その背後にある力の危険性についてさらに理解を深め、それに対抗するための戦略を練り始めます。

 

こうして、宇宙の光と影を巡る戦いは、新たな局面を迎えることになります。

 

ラストの能力

 

ラストのデモンストレーションが示したのは、彼女の願望や欲望が現実の世界に直接的な影響を及ぼす力を持っているということでした。彼女が望むことが現実になる能力は、極めて強力で危険なものとして捉えられ、その力によって周囲の環境や人々の運命さえも操ることができるため、彼女の存在は極めて恐れられるべきものになります。これは、単なる物理的な力だけでなく、精神的、感情的な影響を及ぼすことができるという点で、他の悪魔たちと区別される特徴でもあります。