探査船は赤色矮星の内部を目指し、中心部に位置する原始ブラックホールを目指した。10万キロメートルの距離を、核融合エンジンの推力で1時間で到達した。ネオ・ソフィアは、特異点を通過するための量子化モジュールを起動させ、探査船は原始ブラックホールに突入した。宇宙の様々な時代の映像が、まるで光速で流れるように過ぎ去り、やがて漆黒の深淵に吸い込まれた。一体どれほどの時間が経ったのかは定かではないが、意識を取り戻した時、ネオ・ソフィアの目の前にはアルタイルが輝いていた。ケンタウリの原始ブラックホールの出口であるホワイトホールは、アルタイルの近傍に存在していたのだ。
